純金ゴールド











彼は膚触りの良いものを好む傾向にある。幼い頃からそうで、気に入りのものといえば、 タオル地の枕(ぬいぐるみか)やふかふかの毛布など、柔らかく手触りの良いものばかり だった。それ以外では毎日読んで聞かせてやった絵本くらいのもの。判りやすい好みと いえば、そうだ。

人間、好みはなかなか変わるものではない。バージルもまた、幼い頃から好みは変わって いなかった。

彼は膚触りの良いものを好むが、バージルはその彼に触れることをよく好んだ。一番は、髪だ。 それだけに限らず、膚も余すところなくバージルの気に入りで、触れて、撫ぜてやると彼が 恍惚としたようにとろんと蕩けた表情をするのが堪らないのだ。
歳を経るごとに性というものを理解する程、彼はバージルの与える快楽に酔うようになった。 不思議と、双子の兄と躰を繋げるということに疑問は持たなかったらしい。バージルは バージルで、弟を我がものにすることは当然だと思っているのだが。

バージルにとっての世界は、この弟一人で閉じている。母が無惨に殺されたあの日、バージルの 世界はぴたりと閉じた。弟以外の総てが、バージルにとっては余所事、拘わりのない影のような ものなのである。

弟は、今もバージルの腕の中にいる。ソファーに組み敷き、覆いかぶさってもきょとんとして、 現状を把握出来ていないようだ。抱くぞ、と直接的な言葉を告げれば頷きはしたが、意味は 判っていないのだとありありと判った。
バージルはいちいち説明をしてやる程親切な性格なぞしていない。彼は精神の退行により、 交合そのものを忘れてしまっている。(触れるだけの口付けまで忘れたわけではないようだが。) その為、今の彼にとって交合は痛みばかりを生み出すものとして認識されているに違いなかった。 バージルが、快楽よりも痛みを与えるように、わざときつく少年を抱いたからだ。

少年は、バージルを自分の兄と認識していない。十歳そこそこに精神が退行しているのだ、 バージルを双子の兄と認めるなど、当然ながら無理であろう。バージルには、それが歯痒くて ならないのだ。だから度々苛立ち、少年の細い肢体を無理矢理開かせ貫いた。そこには痛み しかあろう筈はなく、少年が怯え泣くさまはバージルの暗い慾望を煽ってならなかった。
その代わり、とでも言おうか、散々に少年を犯したあとは、これでもかとばかりに甘やかした。 初めこそバージルに怯えていた彼だったが、今では自分からしがみついてくるありさまだ。 バージルがそばにいてやらねば、どうも不安で仕様がないらしい。たった数日で、随分な変化の しようである。

下肢だけを剥かれた恰好で仰向けに横たわる少年が、じっとこちらを見上げている。バージルが すべらかな内股をぞろりと撫でると、少年はびくんと腰を跳ねさせた。意図しての反応では ない。
勝手に躰が跳ねたのだ。変わらず呆けたようにバージルを見つめてくる少年に、バージルは笑みを 浮かべた。

精神が退行したとはいえ、弟は弟だ。躰はバージルとの交合を覚えており、触れれば快感を彼に 伝える。ただしそれを、少年が理解出来ないというだけのことで。

今、バージルは少年に無理矢理ではない行為を施そうとしている。だからこそ、少年はバージルの しようとしていることが判らず、きょとんとせずにはおれぬのだ。彼にとっての交合は、痛みと 恐怖に彩られたものとしてしか認識されていないのだから。
頬に触れれば、少年はもっと撫でて欲しいとばかりにバージルの掌に顔を押しつけてくる。 バージルに撫でられることに、どうやら嵌まったらしい。快楽主義者となる素質は、やはり 生まれつき持っていたのだろう。口付けを好むのも、同じ理由だとバージルは見当をつけている。 つまり、交合についてもそうに違いないのだ。

痛みのない交合を教えてやれば、おそらく嵌まる。

幼いからこそ、嵌まりやすい筈だとバージルは考えている。だからといって、馬鹿のように交合を 好む淫乱になってしまうことは避けたいが。

掌で幼茎を包み込むようにして上下に扱くと、少年は大袈裟な程躰を震わせる。先刻、少年は 先端を少し擦ってやっただけで射精した。もう一度同じことをすれば、また射精するのだろうと 思い、あえて先端には触れず茎をやわく扱くばかりだ。それでも、少年にすれば充分すぎる 刺激になる。

「あっ、ぁ……あんっ……」

絶え間なくもれる喘ぎは、幼さに見合わずひどく甘い。内面の年齢は十ばかりといえど、外見は 十四か十五なのだ。幼い、とは言えぬ歳であるには違いない。
少年はぎゅっと目を瞑り、ただひたすらに喘ぐばかりだ。両手はバージルの肩の辺りを掴み、 縋って離さない。頬や下肢は淡く色付き、ぞくぞくと躰を震わせる。自覚もなく雄を煽って やまぬ少年を、バージルは今すぐにでも貫きたい衝動に駆られた。

(まだ、だ)

馴らしもせずに貫けば、いつもの交合と何ら変わりがなくなってしまう。どうにか自身を抑え、 バージルは少年の膝裏に手を差し込んでぐっと脚を折り曲げさせた。

焦ってはならない。時間はあるのだ。ゆっくりと馴らし、確実に快楽を刻み込んでやらねば ならぬ。

躰を二つに折り曲げる姿勢が苦しいのか、少年が困惑げな声を上げた。

「ばぁじる……なに、するの……?」

バージルは少年の両の膝裏を片手で一纏めにして支え、もう一方の手を少年の小さな尻へ滑らせ つつ、微笑して見せる。

「怖がる必要はない。――――ここに、」

言いながら、奥まった蕾を指の腹でなぞる。

「まずは指を挿れる。少し痛むかもしれんが、辛抱出来るな?」

視線を合わせて告げれば、少年はちょっと躊躇を見せたものの、こくりと一つ頷いた。

「うん。がまん、する」

逆らうな、とは先刻言って聞かせたところだ。従順なことは、良い。しかし少年が唇を噛み締め、 全身を強張らせているのはいただけない。窄まった蕾にまで、余計な力が入ってしまっている。 これでは痛みが増すだけだ。

「力を抜いて、楽にしていろ。そのほうが痛みが小さく済む」

「そうなの?」

訝しむように、少年は目を瞬かせた。確かに、ぐっと躰に力を入れていれば痛みは薄く感じるもの だが、これは別だ。

「そうだ。ゆっくり、息をしていれば良い」

うん、と少年が頷き躰の力を抜くのを見てから、バージルは襞に指を含ませた。途端、少年が びくっと目を見開く。

「ひッ……!?」

少年の放ったものを指に絡ませてあったのだが、やはり痛みは免れなかったのだろう。しかし 裂けたわけではなく、血は出ていない。

「辛抱出来ると言ったのはお前だろう、ダンテ?」

爪先まで強張った足首に口付けをしてやると、少し気が逸れたらしい。指を締め付ける力も僅かに 緩む。

「っん……ぅ……」

大丈夫だと繰り返し、口付けで宥めながらバージルは指を一本、ようよう付け根まで飲み 込ませた。少年の躰は交合に馴れている筈だが、これでは初めてと変わらない。それはそれで 愉しくはあるが、面倒と言えばこれ程面倒なことはない。
指で内壁を擦れば、まだ強張りの解けずにいた少年の表情が、変わった。

「あぅんっ……!」

高い嬌声と、その表情。快楽を得ていることは明らかだ。本人にその自覚はないのだろうが。
バージルは同じ箇所を何度か擦った。弟の弱い箇所は隅々まで知り尽くしているバージルにとり、 少年から快感を引き出すことなど、容易いことだ。

「あんッ、あ、っ、ぁあっ!」

少年はひっきりなしに甘く喘ぎながらも、慣れぬ快楽に怯えているふうでもある。自分の脚が 邪魔になってバージルにしがみつけないことがもどかしいのか、苦しいだろうに、上体を捻って ソファーの背凭れに顔を押しつけた。それは可愛い仕種には違いなかったが、バージルはどうも 気に入らず眉を顰めた。

「こちらを向け、ダンテ。顔を背けるな」

声を低めて言えば、ダンテはぎくりと肩を跳ねさせ、そろそろと首を元に戻す。怯えた双眸に 自分が映るのを確認して、それで良い、と少年の足の指に口付けた。ぴくっと、無意識にだろう 少年の脚が小さく反応する。
バージルは細い足首にいくつも唇で触れながら、少年の内壁を指で探った。びくびくと少年が 反応を返すが、今し方のような際立ったものは見せない。バージルがあえて、少年の弱い箇所に 触れずにおき、違うところばかりを弄っている所為だ。

「んっ……ん……」

少年もそれに気付いたのか、喘ぎに心なしか戸惑いが窺える。バージルを見上げる潤んだ双眸が、 何をか訴えるように揺れるのが判った。

「どうした?」

嘯くバージルに、少年は縋るような眼差しを送る。

「……ぁ、じる、……ねぇ……」

ねだる声は甘く、痺れるようだ。が、バージルはわざと判らぬふうを装い首を捻って見せた。

「何だ? はっきり言わねば判らぬぞ」

少年が、傷付いたように眉根を寄せる。今にも泣き出してしまいそうな表情が、バージルは 好きだと酷薄にも思う。子どもの頃からそうだったが、バージルは時折気が触れたように弟を 苛めては泣かせていた。悲痛な表情としくしく泣くさまが堪らなく好きだったのだ。残酷な ものだと、我ながら思う。その傾向は、今でも大して変わってはいないのだ。

「俺に何をして欲しいのか、言葉にして言え。上手に言えれば、その通りにしてやる」

促すように、少年の足首に軽く歯を立てる。やわい皮膚を甘噛みすると、それすら感じるのか、 少年がか細く鳴いた。

「ぁっ……、ばぁじる、さっきの……して?」

少ない語彙で懸命に訴えようとする少年が、ひどく可愛いとバージルは思う。いや、この少年が 可愛いのは当たり前だ。

「さっきの、とは何だ?」

言ってやれば、少年は考え込むように唇を噛んだ。

「え……、えっと……」

幼い少年に、自分の感じる箇所を言えと言っても無理なことだとはバージルも判っている。 判っていながらも言わずにおれぬのは、少年の困り果てた表情を見たいからだ。

さすがに、やり過ぎただろうか。少年の大きな双眸から、ほろほろと涙がこぼれ落ちた。しかし バージルをなじる言葉なはく。少年の唇からは「ごめんなさい」という謝罪の言葉が、途切れ 途切れに紡ぎ出された。

「ぼく……っ、わか、ん、ない……」

上手く言葉を探せなかったことで、バージルに叱られると思ったのだろう。この少年は、異常な までにバージルの怒りを恐れている。
バージルは今し方噛んだ少年の足首を、舌で柔らかくなぞった。同時に、粘膜をひょいと擦り 上げる。不意打ちの刺激に、少年が震えた。

「あっ……!」

「ここが悦いのか?」

擦りつつ問うと、少年は首を左右にした。

「ならば、こちらはどうだ」

言いざま、指先で内壁を突く。加減をしたので、痛みはない筈だ。が、そこも少年の弱い箇所とは 僅かにずれた場所である。

「んんっ……そこ、ちがう……」

片言のように舌足らずに訴える少年の、襞がひくりとひくついてバージルの指に絡み付く。早く、 と促しているようでもあり、バージルは少年の無意識の淫らさに苦笑した。焦らしに焦らして やるのも良いが、今日はこのくらいでやめておくとしよう。

「では、……ここは?」

できものとは違うしこりを掻いてやれば、少年は目を瞠って高い悲鳴を上げた。

「ひゃぁあんっ!」

細い腰が堪らないというように淫らに揺れ、バージルの指をきつく食い締める。気持ちが好いの かと問えば、少年はがくがくと首を縦にし、「もっと、」とより強い快感をねだってくる。

「良い子だ」

バージルは口端に笑みをはき、そこを続けざまに擦り、突き上げてやった。既に蕾は熟れ、 バージルの指一本きりでは足りぬように思われる。

「やぁっ、あっ、あぁん……ッ!」

びくっと一際大きく少年の躰が跳ねた。達したのだと、すぐに判った。少年は蕩けた表情で、 ただバージルを見上げて胸を上下させている。荒い息の中で、バージル、とため息のように 呼ばわった。その甘い響きに否応なく下腹が張り詰めるのを自覚して、バージルは自嘲せずには おれない。

(俺もまだ、青いな)

少年の思考がとろりと溶けているうちに、バージルは少年の後孔に入れた指を二本に増やし、 素早く拡げていく。指を挿出させるたびにぴくっと跳ねる躰が可愛らしい。

「はぁ……はぁ、ん、……くぅん……」

蕩けた喘ぎがバージルを誘ってやまない。少年の後孔が充分にほぐれたのを確認して、バージルは 片手で一纏めにしていた少年の脚を、ひょいと肩に担ぐようにした。脚を左右に割った為に、 その付け根に隠れていた幼茎があらわになる。まだ幼い性器は、先程達したばかりだろうに、 既に鎌首をもたげて震えている。
バージルが指を引き抜くと、突然の喪失感に少年が困惑したらしい。

「っ、ぁ……じる?」

「焦るな。すぐに悦くしてやる」

宣告するが早いか、バージルは少年の濡れそぼった蕾に己の熱塊を押し当て、穿った。

「アァッ!」

喉をのけ反らせて、少年が鳴く。快感による喘ぎというよりも、激しい衝撃に驚いたのだろう。 目をいっぱいに見開いた少年の紅くそまった頬に、バージルは上体を屈めて口付けた。躰を折り 曲げる恰好の少年はつらいだろうが、口付けたかったのだから仕方がない。

「苦しいか?」

浅く息をする少年の、額に張り付いた前髪を掻き上げながら判りきったことをあえて問う。 少年は明らかに苦そうに、しかし首を左右に振った。

「っ、いじょ、ぶ」

には、とてもではないが、見えない。バージルは少年の額をゆるりと撫ぜた。

「焦るなと言っただろう。ゆっくり馴らせば、苦しくなくなる」

「、ん……でも……」

「でも、何だ?」

額を撫でてやりながらとえば、少年は潤んだ双眸で真直ぐにバージルを見上げ、言う。

「さっき、みた……に、して……?」

はやく。などとねだられて、慾を抑えていられる男は男ではない。バージルは喉の奥でくっと 笑い、少年の望み通り腰を推し進めた。

「あ、んっ!」

喜悦を含んでいるとしか聞こえぬ喘ぎに導かれるように、より最奥を突くべく柔らかな肉を 掻き分ける。少年は内部を貫かれる圧迫感にこそ慄いているようだが、痛みは感じていない 筈だ。目を瞑った表情はどこか恍惚として、痛みとは無縁にバージルには見受けられた。

「もう馴染んだらしいな……」

きつい締め付けに、バージルは片目を眇める。これも素質のなせる業か。だとすれば、随分と 厄介なことだ。
が、そのことは今は置く。

バージルは少年をソファーに組み敷いた恰好のまま、文字通り思う存分可愛がった。少年自身も 望んだことだ、やめてやる理由はどこにもない。





その後、

バージルの責めがよほど堪えたのか、気を失うように眠り込んだ少年は、夕食も間近になって ようやく目を覚ました。その痩身を膝に抱いて夕飯を摂りながら、バージルはふと、少年が 腹の辺りに視線を落とし、何やら考え込んでいるふうであることに気が付いて。

「どうかしたか?」

躰がつらいのかと問うてみるが、少年は違うと首を横に振り。おもむろに顎を上向けてバージルを 見上げた少年は。

「ねぇ、バージル。赤ちゃんのなまえはなにが良い?」

などと。可愛らしく(冗談を言っているのではない顔で)小首を傾げて、バージルを絶句させると いう偉業を無自覚に成し遂げたのだった。
























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調子に乗りました。すみません。(土下座)
今回は飴なえちを…とか…いつもは鞭なえちなのでたまには…
で、また続きそうですが、ひとまずコレはコレで終了、と。

[08/4/17]