河岸カシ









むき出しの配線。

覆うもののない水銀灯。

群れる虫。虫。虫。

眩い光の中、小さな生き物が短い命をもがくように燃やしている。
あるものはそれを忌避し、あるものはそれを憐れむ。

羨むものは、少ない。





「どうした」

ぼんやりとしていると、肩にぽんと手を乗せられた。見やれば、自分と同じ、しかし 自分よりも際立った美貌の兄。

「ん……別に、何もねぇよ」

「虫がどうかしたか」

何を見るでもなくぼうっと視線を泳がせていたというのに、何故虫に限定するのだろう。 それが的を得たことだと、無自覚に確信している辺りが、バージルたる所以だ。

寄り添うように隣に並んだバージルの、ほぼ同じ高さの肩に少し寄り掛かった。

「……虫ってさ、すぐ死ぬよな」

数はいても、個々の寿命は一瞬と言っても過言ではない。

「短い命使って子孫残して、すぐに死ぬ……それってさ、どう思う?」

「どう、とは?」

「んー……例えば、そう、そんな一生嫌だ、とか」

普通の人間ならば、こんな感想が出て来るのだろう。

バージルは理解したようなしないような顔で眉を寄せ、ふん、と面白くもなさそうに鼻を 鳴らした。

あ、俺またやっちまったかなぁ。悔やむでもなくそう思っていると、ふと。

「憐れとは思わん。ただ、ある意味で羨ましく思う」

「え?」

「子を残すためだけに生き、死ぬというその瞬き一つの生は、我々には真似出来ん。 人は慾が強過ぎる」

「…………」

唖然としてバージルを凝視した。
どうして、この兄は自分と同じことを考えているのだろう。
不思議で、けれども悔しいくらいに嬉しくて。

「何だ。お前が訊いたことに答えただけだろう」

不審げにこちらを見やるバージルに、別に、と首を振って見せた。

「アンタが変なこと言うから」

「そうか?」

「そうだよ」

「では、お前はどうなんだ」

不意に訊かれ、は?と思わず間抜けな声が出てしまう。

「俺にだけ答えさせて、自分は言わぬ気か?」

じとりと睨まれ、変と言ったことをバージルが根に持っているのだと知れた。 妙なところで拘る男だ。

少し、ほんの少しだけ可愛いと思ってしまう。

「俺は……」

どことなく不機嫌なバージルに、ひょいと触れるだけのキスをして。

「……アンタと同じだよ」

ただ一つの本能の為に生き、死ぬ。
その一瞬の輝きは眩く、しかし人は誰も気に留めることはない。

一瞬一瞬に命を懸け、そして死んでいく小さな小さな光。絶えることなく続く命の連鎖。





漫然とした生は、要らない。






「なぁ、バージル」

「何だ」

「…………しよう?」

目茶苦茶にされたい。



今日は、そんな、気分。



















戻。



み、短い…し、何がしたいのか全く分かりません。
ぼんやり居間の電気見ながら書いた覚えがあります。
うちの居間の電気、現在蛍光灯むき出しです。配線も丸見え。
虫はたかってませんけど(当然)。イメージは夜の街灯周辺ですかね。