彩惑
雲が一つ、空にぽかりと浮かんでいる。それはまるで、水を張ったばかりのプールを独り占めして
泳いでいるかのように、何だか気持ちが良さそうに見えて。
ダンテはすぐ傍らの兄に、それを見てもらいたくて空を指差した。兄と手を繋いでいるほうとは、
反対の手で。
兄はダンテの差すほうを見、ふぅん、とあまり興味がなさそうな反応をした。面白くなかったの
だろうかと、兄の顔を上目遣いに覗き込んだダンテの鼻先を、兄はちょっと摘んで左右に
揺さぶった。もちろん、痛みはない。
何に見える、あれ?
問う兄に、ダンテは首を傾げて答えた。
「おっきな鳥」
翼を広げた、鷹だとか、そういう類の首の短い鳥の姿だ。少なくともダンテにはそう見えた。
ゆったりと、楽しそうに水色の空をたゆたっている。
兄はくすりと笑い、言った。おれにはあれが、楽しそうにしているようは見えないな。ダンテは
きょとんとして目を瞬かせた。どうして、と首をひねる。
「あれはひとりだ。ダンテ、おまえはひとりで遊んでいて、楽しいか?」
ダンテはすぐに首を振った。たのしくない。楽しいわけがない。バージルが読書に没頭している間、
ダンテはいつもつまらなくて仕様がないのだ。ご本を読み終わったら一緒に遊んでねと、いつも
ねだる。
もう一度、空を見上げた。今の今まで楽しげに見えていた鳥の形をした雲が、何故だかひどく、
寂しそうに映って、ダンテは戸惑った。バージルの言うとおりだ。やっぱり、バージルは
すごい。
そこに、ダンテ自身の思い込みがふんだんに含まれていることを、無垢なダンテは知らない。
ぼくにはバージルがいるけれど、お空の雲はひとりぼっち。
それが、不思議なくらい悲しかった。
懐かしい夢を見た。そんな気がしながら(内容など覚えていない)、ダンテはふっと睫毛を
震わせた。瞼がひどく重くて持ち上げるのが億劫だけれども、再度眠ってしまうには、意識は
奇妙なくらいはっきりしている。
瞼を開けると、今まで全く気がつかなかったが、まだ部屋が暗い。早朝に目覚めることすら
少ないダンテにとっては、夜中に覚醒するなど片手で数えてもまだ余る。
さて、何故起きてしまったのだろうか。天井を見上げつつ考えて、しかしすぐに、自分の馬鹿さ
加減に嫌気がさした。何故、は夜更けに目が覚めたことなどではなく、自分がベッドにいることに
こそ感じねばならぬものである。
そう、ダンテはこんな、スプリングの効いたベッドになど寝ていなかった。加えるなら、眠った
覚えすらないのである。
意識が途切れる直前のことを、ダンテは思い出すべく額に手をあてた。痛みを伴い、蘇る記憶に
ダンテは顔をしかめる。この痛みは、双子の兄によって負った傷に因るもの。そして傷を負った
理由は、ある男を庇ったから。兄と男が、穏やかならぬ対峙を迫られた理由は、他ならぬ自分だ。
結論から言って、ダンテのしたこと総てが愚かで、胸を斜めに裂いた傷は、その報いと言えた。
しかし傷は塞がってしまうものだ。ダンテは自身の治癒力の高さを知っている。心臓に剣を突き
立てても、銃で額を撃ち抜かれても、この躰は死に到ることはないのだ。
傷は残らないだろう。ならばダンテはどう罰せられれば良いというのか。どうすれば、兄は自分を
赦してくれるのだろうか。
最後に想うのは、やはり兄のことだ。当然といえば当然のことで、ダンテにとって兄はまさしく
己の半身であり、唯一の存在なのだから。兄に捨てられることを何よりもおそれるダンテは、兄の
赦しが得られるならば何でもしようと思っている。
だが実際には、どうだったか。
ダンテは逃げた。兄からではない。兄に捨てられるという現実から、逃げた。そして縋りついた
のが、あの男の腕だった。
自分をひどく凌辱した相手だというのに、ダンテは男を憎む気持ちになれずにいた。何故なのか、
それが判れば苦労はない。嫌悪もなかったかといえば、それは違ったけれども、少なくともダンテは
男に組み敷かれて不快とは思わなかった。凌辱の記憶から、初めこそ触れられただけで総毛立つ
ようだったが。
兄は自分を赦さないだろう。よりにもよって、彼ら双子の決裂の原因となった男に、ダンテは
縋ってしまったのだ。赦されるわけが、ない。兄はそういう点、ひどく潔癖だから。
(判ってる)
天井が、ぐにゃりと歪んだ。ダンテの双眸に涙が滲んでいるからだ。
(俺は、もう)
ダンテは自分が何故、ベッドのある部屋(おそらく自室ないし兄の部屋だ)にいるのか考える
ことをせず、声を殺して泣いた。彼にとって大事なことは、自分がベッドに横になっていること
ではなかった。そばに誰もいないこと――――自分がたったひとりであることなのだ。
「……っ、……ジル……」
嗚咽混じりに兄の名を呼ばわるけれども、答えはない。ダンテは小さな子どものように、シーツを
頭からかぶり躰を丸めて泣いた。
あのとき兄に殺されていれば、或いは仕合わせだったかもしれない。
そんな思いの滲んだ涙が、シーツをしっとりと濡らしていく。
これがすべて夢だったなら。
詮ないことを願う程、彼は現実からの逃避に徹しきれてはいなかった。
密やかな泣き声が、ドアの向こうから聞こえてくる。それはいかにも悲哀に満ちており、聞く
ものを同情させる響きをもっていた。が、バージルには同情するつもりも、理解するつもりも
毛頭ない。
弟を斬った感触は、いまだ生々しくバージルの掌に残っている。閻魔刀を握るたび、バージルは
弟の肉を断つ感触とそこから噴き出す血の鮮やかさを思い出すのだろう。しかしそこに伴う感情は、
けっして戦慄ではない筈だ。
バージルは弟を斬ったことを後悔していない。そのときでこそ狼狽し、驚愕したバージルでは
あれども、今はもう平常の精神状態に戻っている。この状態で鑑みるに、後悔すべき種など
どこにもないのだった。
ならば今、部屋の中で泣いている弟はどうなのか。それをバージルが考えることはないけれども、
問うてみたいとは思う。
後悔はしているか。もししているならば、何を。そして、何故。
聞けば何をか納得出来るのか、バージルには判らない。弟のことを理解したいと思っているのか
すら、判然とはしなかった。実際、バージルが彼を理解しようと思ったことは皆無なのだ。
生まれ落ちる以前からともにあった、文字どおりの半身なのだから、わざわざ互いを理解しよう
などと思ったこともないというわけで。
その半身が、自身を凌辱した男を庇ってバージルに斬られたのは、いかにも不快で理解に苦しむ
事象である。その行動に出た意味さえ判らない。必要性すら、バージルには思い至らなかった。
いや、疑惑は、ある。それを納得したくなくて、バージルはあえて拒絶しているだけかも
しれなかった。
弟の心があの男に向いている、そんな疑いを、バージルは認識することを拒んでいるのだ。
それはあまりにも確信に近すぎて。納得してしまえば何もかもが崩れ去るに違いなく。つまりは
世界そのものが消滅するということ。
バージルの世界は、己と弟の二人きりで閉じている。その世界が崩れれば、バージルにはこの世に
存在する理由がなくなる。
極論だが、バージルにとって弟とはそれ程に大事な存在なのである。彼がいなければ、バージルは
今ここにはいない。
弟にとっても、自分はそういった存在であるとバージルは思っていた。互いの間に愛の言葉など
ありがしない。ただ、互いに互いが唯一で、絶対的な存在であると。そう、思っていた。
(だが、お前は)
裏切ったのだ、弟は、バージルを。捨てられることを何よりも恐れていた弟は、バージルではない
存在に縋り、躰を拓いた。バージルを追うことを諦め、あの、醜い獣に身を委ねたのだ。それを
裏切りと言わず何とする。
バージルには、弟を赦してやろうという気持ちはひと欠片もない。弟がしたことは赦されるべき
ことだろうか。いや、そんな筈はない。あれはけっして赦されぬ過ちを犯したのだ。あれは、
罰せられねばならない。
だから、バージルは自ら斬った彼を自宅へ運んだ。彼の傷を癒す為、そして罰を与える為に。
弟は何も知らず、ただ泣いている。その涙の意味を、バージルが問うことはないだろう。そうする
理由も必要も、バージルは持ち合わせていないのだから。
バージルは弟を赦さない。どんなに泣き、縋り、赦しを乞うたとてバージルの意思は変わらない。
そうされて当然と言えるだけの罪を、弟は犯したのだ。
いっそ殺せと、弟は言うかもしれない。人よりも矜持は高くある弟のことだ、泣き喚き縋りつく
よりも誇りを持ったまま死にたいと願う可能性はなくはない。しかし、
(殺しはしない。死なせるものか)
死とは逃避だ。バージルは彼をむざむざ逃がしてやるつもりは毛頭なかった。彼には己の罪を
よく理解させ、その上で生かし、罰しなければならぬ。
殺してもらおうなどと、考えが甘すぎる。それで楽になろうなど、楽観にすぎる。
彼へ背を向け、好きにしろと言ったことを、バージルは忘れてはいない。あの言葉がこの結果を
生んだのだろうことも、判っている。しかしバージルのあの言葉は、断じて彼に件の男を
選ばせようとしたものではなかった。
彼には自分しかいないのだと、バージルは思い込んでいるふしが多分にある。その思い込みに
あぐらを掻いた上での発言であったのだが、バージルはまったく自覚していなかった。自分の
言葉を誤認した弟が悪いのだという、まったく自己中心的な思いに囚われている。
この盲目的な思考は、弟にも共通しているのだが、幸か不幸か、彼らは互いにそのことに気付いて
いない。
(逃がすものか)
半身を想うあまり、彼らはときに盲目になる。周囲の何ものも見えなくなる。そうして世界と、
社会と、人々と、隔絶されていく。
厄介な兄弟だと、判ってはいたがこれ程とは思わなかった。
屋上の端から脚を投げ出し、手を後ろについて、男はひとり空を見上げている。雲の敷き詰め
られた空には、月も星も見えるわけもない。しかし雨が降りそうな気配はなく、ただ、薄い雲に
覆われているのみだ。
男は人間ではない。見目こそ誰がどう見ても人間であるが、これはただの仮の姿だ。男の本性は
魔界に棲む野獣。爛れた瘴気を好み、その背に白く輝く翼を持つという、例外中の例外を併せ
持った魔獣である。
男が人の姿を借りてまでこの世界に在る意味は、実のところ男自身にも判らずにいる。気付けば
この姿で、見知らぬ場所に立ち尽くしていた。一度は死んだ筈の己が、生きて、しかも人間の
世界にいるという意味を、男はしかし深く考えたことはない。物ごとを深く考える、その行為を
男は好いていなかった。
頭で考えることに意味があるのか、男は疑問でならない。元より、思考よりも本能が勝る魔獣で
ある自分に、思慮遠謀など不要でしかないことは間違いのないことだ。くどくど考えて導き出した
答えが、絶対に正しいと誰が証明出来るだろう。
あの双子を見ている限り、男は己の正しさを確認せねばならない。
考えすぎた結果が、あれだ。互いに考えすぎて、互いのことが全く見えていない。まるで盲目に
なったかのように、目の前の事象を正しく捉えることが出来なくなっている。一種傍観者である
男には、彼らはいかにも愚かで幼く映る。
馬鹿馬鹿しいことだと、思う。誰がもっとも振り回されているかと言えば、自分に違いないと
確信出来るからこそ、馬鹿馬鹿しい。
初めは、男が双子の片割れ、紅を纏ったほうを凌辱したことが発端だった。何故そうしたのか、
振り返ってみても確固たる理由は判らない。そうしたいという本能のまま、彼を捕らえ寝台に
標本の蝶のように磔にして犯した。その行為により憎しみを買う買わないということは、男に
とっては些末なことでしかなく、ただ、望むままに彼の肉を蹂躙した。
彼は、そうした自分を憎悪していない。何故かは知らない。女ではないからかもしれないが、
確かな理由を男は聞いていなかった。
訊いて、何を知ろうというのか。男は判らないし、それはいかにも無意味なことに思える。
男とて、彼を凌辱した理由も、その後数回に渡り彼と接触した理由を問われても、明確な
答えなど出せないのだから。
だが、と、思う。
片割れに捨てられたと思い込んだ彼が、いったい何を考えて自分にその身を委ねたのか。それを
知りたい。その場に男がいたから。そんな理由にもならぬ理由であろうとは、半ば予想している
のだけれども。
少しはそこに、何かしらの想いがあったのではないかと。身勝手かもしれないが、そんなことを、
思うのだ。
(まったく、愚かな)
自嘲をする合間にすら、男の脳裏には彼の蒼白い肢体を貪る映像が繰り返し流れているのだから、
救いがない。
らしくもないと思う反面、自分らしさとはいったい何かと疑問が浮かぶ。少なくとも、紅を纏った
半人半魔のことばかりを考えるなど、以前の自分では有り得なかった筈だ。
あの頃、男は復讐の為だけに生きていた。ただそれだけで、良かったのだ。本能と復讐。
それ以外に必要なものなど、ありはしなかった。
生きている意味を問われ、言葉に詰まらぬものがどれ程いるだろうか。
己は意義ある生を生きていると実感しているものが、この世にいくらもいるのだろうか。
こつこつという硬質の物音が聞こえて、ダンテはシーツの中で身動いだ。足音にしては軽すぎる。
それに廊下側から聞こえたのではないようにも、思う。
こつ、こつ。
まただ。ダンテはシーツをめくり、顔を出した。泣き腫らした目は赤く、目尻が腫れぼったい。
一生分泣き尽くしたと思える程に、泣いた。
こつこつ。こつ、
ダンテの気を引こうとするように、音は断続的に耳に届けられる。部屋はまだ暗く、夜明けまで
あとどれくらいなのかも判らない。ダンテはずしりと重い躰を、腕を杖にして起こした。
音の源は、どうやら窓であるらしいと気付いたのだ。
ベッドから降りようとして、そこで初めて、ダンテは自分が何も着ていないことを知る。
自分しかいないのだから気にする必要もないだろうが、ダンテは掛布代わりのシーツを引きずり、
マントのように肩からかぶった。その間も、こつこつという音は続いている。
しかしその音も、窓に寄ると途端に消えた。ダンテは首を捻り、窓を開ける。と、
「わっ……?」
桟にとまっていたらしく、灰色の鳥が一羽、羽ばたきダンテの目の前に躍り出た。ダンテが
シーツを巻き付けて腕を差し出すと、鳥は待っていたというようにダンテの手首に脚を絡める。
「お前……」
夜更けに飛ぶことの出来る鳥など聞いたことがない。訝るダンテだが、ふとその鳥が片目である
ことに気がついた。残った隻眼は、燃え盛る炎を思わせる真紅だ。これに似た目をしたものを、
ダンテは知っている。が、こんな姿ではなかった。ダンテの記憶に新しいそれは、確かに人の形を
していたのだ。
鳥が、何やらおもむろに翼を広げた。灰色の羽根が敷き詰められたそこに、ちらほらと、純白の
羽根が混じってきらきらと輝いている。暗い中で鳥の羽根の色を判別出来たのは、この自ら輝きを
発する羽根があったからなのだ。
ダンテは再び翼を折り畳んだ鳥を、じっと凝視した。鳥も、こちらをじっと見つめている。
その隻眼の、爛と光る緋色。
「おまえ、ベオウルフ……?」
そっと名を呼ばわると、鳥は頷いたように見えた。この姿では言葉を操ることが出来ないのか、
先程から喋ろうという素振りも見せない。が、こちらの言葉は判るようだ。
確かにこれは、あの男であるらしい。
「なんで、」
半ば茫然と呟いたとき、背後で唐突にドアが開いた。はっとして振り返ると、当然ながらそこには
双子の兄がいて。ドアの脇の電灯のスイッチをぱちりとオンにした。途端、痛いくらいに眩い光が
ダンテの両目を襲う。
眩しさに軽く呻いたダンテに、バージルの鋼鉄の声音が投げられた。
「何をしている」
びくりと、する。それが伝わったらしく、鳥がダンテの手首でたたらを踏んだ。
「それは何だ」
その塊は、とバージルの鋭い双眸が灰色の鳥を射抜く。鳥はバージルの視線を受け止め、
睨み返した。ただの鳥ではないのだ、バージルに怯えることは確かにないに違いなかった。
バージルは、ダンテの半分も時を要さず鳥の正体に気付いたらしい。眉間に刻まれた皺が深くなり、
険しい表情でダンテを見据えた。
「何のつもりだ、それは」
低い恫喝に、ダンテはぎくっとなる。これは、ダンテが好きで部屋に引き込んだわけではない。
けれどもこの鳥が勝手にしたことだとは、ダンテは何故だか言えなかった。
「バージル……」
厳格な兄は、やはりダンテを赦すつもりはないらしい。が、捨てるつもりでもないのではない
かと、ダンテはふと、思った。捨てるなら、バージルは既にここにいない筈なのだから。
ダンテはちょっと唇を噛んだ。今考えていることを口にしたら、今度こそ見限られるだろうか。
その可能性は高い。けれど。
「バージル、なぁ、……駄目、か?」
皆まで言わず、手首に鎮座する鳥を見やる。この鳥を、ここに置いてはいけないかと、言外の
意図をバージルは察したのに違いない。険しく眉をしかめ、何故かと問うてきた。そう訊かれる
と、ダンテにも明確なことは返せない。
「え、……その……」
バージルの視線と、鳥の視線と。三つの目がダンテの言葉を無言で要求している。
う、と喉を詰まらせたダンテは、ほとんど意味の通らぬことを呟いた。
「雲が……ひとりでさみしいから……」
それはいつか見た空の、ぽつんと浮かんだ雲の情景。
バージルは不審げに眉を寄せたが、ふとため息をもらし、しばしの沈黙のあと、好きにしろ、と
どこか投げやりに言った。呆れたのだろうか。見限られるだろうか。ダンテは自分が縋るような
目をしていることなど知らず、バージルを見つめた。兄はふんと鼻を鳴らす。次いで紡がれた
言葉は、ダンテに向けられたものではなく、
「次にまた同じことをすれば、容赦はせぬ。その羽根総て毟って八つ裂きにしてやる」
脅された鳥は怖じ気付くふうもなく、ばさりと一度翼を広げた。出来るものなら。そう言った
ようにダンテには思えた。
「来い、ダンテ」
不意に名を呼び、手招くバージルにダンテは首を傾げた。バージルは部屋を横切り、
ベッドへ近付く。その位置から、棒立ちのままのダンテを再度、手招いた。
「夜明けまでまだ時間がある。寝直すぞ」
ダンテはぱっと、笑みを咲かせた。手首に座り込んだ鳥が、くっと喉を鳴らすのが聞こえたが、
それが笑いによってもれたものであるのか否か、ダンテには判らなかった。
これで一段落、と思っているのですが、いかがなものでしょう。
ご意見などいただけると幸いです。