+注+
こちらの駄文はマニアックシチュエーションにつき、要注意です。
何があっても自己責任でお願いしております。
苦情等は一切受け付けませんのでご了承下さい。
自分のしたことはすべて自分で責任持てます、何でも来い!
という猛者のみ、スクロールをお願いします。
くれぐれも、自己責任という言葉をお忘れなきよう…
壊物
いっそ鎖に繋いで、どこへも行けぬように閉じ込めてやろうか。
そう思うことは、少なくない。
バージルは傍らの、うきうきとしているらしく妙に足取りの軽いダンテを見やって、判らない
程度にため息を吐いた。めったにダンテを外出させないバージルだが、今日は本当に珍しく
二人で揃って買い物に繰り出している。ダンテが、遊びに行きたいと散々喚くわごねるわで、
どうにも始末に終えなかったからだ。
判った、と渋々承知してやったときのダンテの嬉しそうな顔は、それはそれで見物では
あったが。
そんなわけで、二人連れ立っての久方振りの外出である。場所はわりあい大きなデパートだ。
日用品や食料品ならば近くのスーパーマーケットで事足りるが、ダンテはどうせならと言って
遠出をねだった。極力ダンテを外に出すことをしたくないバージルとしては、遠出など以ての
外である。眉間に皺を寄せ、バージルが提示したのは遠いと言う程離れてはいないが、歩くには
距離のあるデパートに行くことだった。
ダンテはちょっと不満そうな顔をして見せたものの、嬉しそうに輝く瞳がそれを
裏切っていた。
ぴょこぴょこ跳ねるように歩くダンテの襟首を、バージルは後ろから摘んで自分のほうへ引き
寄せた。コート代わりの厚手のトレーナーは、内側に手触りの良いファーが敷き詰められた
フードが付いており、ダンテは好んでよく着ている代物だ。下には椅子に座れば膝が見えると
いう丈のハーフパンツを穿かせてある。どちらも、バージルが購入したものだ。これらだけでなく、ダンテの身に着けているものは皆、バージルの独断と偏見によって選ばれており、ダンテが自ら買ったものは一つもない。
襟首を掴まれて息が苦しいだろうに、バージルを仰ぎ見るダンテの表情は何故か輝いている。
バージルは反対の手で、ダンテのふんわりとした線を描く顎をつるりと撫でた。
「あまり離れるな」
ダンテは顎に添えられたバージルの手に自分の手を重ね、にっこりする。
「うん」
やけに素直なことだ。僅かに眉を顰めたが、ダンテの嬉しそうな表情には弱いところのある
バージルである。自分たちがデパートの真ん中にいるということなど気にもせず、身を屈めて
ダンテの額に口付けた。
「良い子だ」
などと、囁いて。
ざわっと周囲がざわめき、ダンテが耳まで赤くなる。
「なっ……にすんだよ、こんなとこで……」
それなりの恰好をさせれば少女にも見えるダンテだが、今日は完全に少年にしか見えない。
彼らがどういう関係なのか、周囲が勘繰るのは仕様のないことだ。しかし、彼らは当然ながら
よく似た顔立ちをしており、兄弟だろうと見当をつけたものは少なくなかった。バージルが
何ごともなかったかのように躰を起こしているので、ただのスキンシップ(にしては些か
過剰だが)だと納得したらしく、立ち止まっていたものも肩を竦めて歩き出した。
頬を膨らませているのは、ダンテ一人。バージルはダンテの頬を撫ぜ、行くぞと促した。
ダンテは唇を尖らせながら、とてとてと早足気味にバージルに続く。
ダンテが行きたいと言い出しただけのことである為に、何を買う目的があるわけでもなく。
双子は洋服売り場をうろうろしながら、やはりここでも注目を集めていた。
「なぁなぁ、これ、似合う?」
「あぁ、そうだな」
「んー、じゃあ、これは?」
「……良いのではないか?」
などと、どこのカップルかと突っ込みたくなるような会話を、立ち止まるたびに繰り広げるもの
だから、嫌でも、人目を引こうというものだ。
ダンテは久し振りに自分で服を選んでいるからか、始終上機嫌だ。そんなダンテを見ることは、
バージルにとって微笑ましいことである。が、
「これ買って?」
とダンテが上目遣いに言い出せば、バージルはぴしゃりと言うのである。
「駄目だ」
ダンテはぷうっとむくれてバージルを睨む。
「何でだよ。似合うって言ったじゃねぇか」
確かに、そうだ。おざなりな返事に聞こえていただろうが、ダンテに似合うと思ってバージルは
頷いていた。だからときに、どうかな、というふうに首を振りもしていたのだ。ダンテが今手に
しているセーターについては、バージルもダンテに似合うと首を縦にした。が、バージルにも
言い分はある。
「その色は、駄目だ。お前にはこちらのほうが合う」
ダンテが持っている真っ赤なセーターをひょいと取り上げ、オフホワイトのものと換えてやる。
派手なものと赤が好きなダンテは、思い切り眉をしかめた。
「……地味じゃねぇ?」
そう言うだろうことは、無論見通しているバージルだ。後ろの棚に並んでいたマフラーを手に
取り、ダンテに示してやる。
「首にこれでも巻けば、丁度良かろう」
マフラーはダンテが好きな赤だ。真っ赤ではなく、ワインレッドに近い色合いをしている。
ダンテは自身で地味と称したセーターと赤いマフラーを交互に見やり、それからバージルを
上目遣いに見上げた。
「それ、両方買ってくれんの?」
買って欲しい、とねだるような目で訴えてくるダンテに、バージルは微笑を返した。
「あぁ、」
ぱっと破顔するダンテの頭を撫でてやり、バージルはレジに向かった。バージルが何か買って
くれるとは思っていなかったのか、ダンテは他のものには見向きもせずにバージルの後から
ついて来る。バージルはふと、斜め後ろに手を差し出した。少し間を空けて、ダンテがその手を
おずおずと握る。バージルは口端を持ち上げ、一回り程も小さいダンテの手を握り返した。
兄弟というには濃密な雰囲気を纏った銀髪の二人組は、しかし周囲の目を見事なまでに無視して
洋服売り場から去って行った。
喉が渇いたと言って、ダンテがバージルのコートをつんと引っ張った。バージルはデパート内に
あるファーストフード店に寄り、ダンテに小銭を持たせて好きなものを買えと言ってやった。
ダンテはにんまりして駆けて行き、戻って来たときにはコーラを大事そうに両手で
持っていた。
「いる?」
「いらん」
「……飲む?」
「……、一口だけならば」
差し出されたものを、受け取らずにそのままストローに口をつける。判っていることだが、甘い。
本当に一口嚥下しただけで口を離すと、ダンテがじっとこちらを見つめているのと目が
合った。
「旨い?」
首を傾げるダンテの手首をちょっと掴み、コーラがこぼれぬよう避けておいて、腰を屈めた。
ダンテの唇を、自分のそれで軽く塞ぐ。ちゅ、と。わざと音をさせて顔を離した。
「俺はこちらのほうが良い」
みるみるうちに首筋まで真っ赤になったダンテの、熟れた頬をバージルはしれっとした顔で
撫ぜた。
それから、しばし……
もう満足しただろうと踏んで、バージルはダンテに帰宅を促した。バージルの予想は当たった
ようで、ダンテは「うん」と不機嫌の欠片もなく頷く。手を差し出してみれば、今度は躊躇いも
なく握られる。吹っ切れたか、甘えているのか。両方だろう、とバージルは内心で笑んでダンテの
手を握り返した。
それは出入口付近まで来てからのこと。
ダンテが不意に、バージルの手を強く引いた。
「どうした」
見れば、ダンテの表情がどこか強張っている。どこか具合でも悪いのかと、バージルは足を
止めた。ダンテがぎゅうぎゅうと腕を引っ張る。意図が判らずとりあえず顔を近寄せたバージルの
耳に、ダンテはひそひそと、しかし切羽詰まったふうに言った。
「ト、トイレ……」
先刻のコーラ一気飲みが、ここぞとばかりに効いたらしい。バージルは呆れてしまった。今し方、
帰る前にトイレに行かなくて良いかと訊いた際、「ない」などと幼児のような答えを返したのは
誰だったか。ダンテも自省しているのか、叱られた後のように眉尻が情けなく垂れている。
とにかく、今は急がねばならない。
バージルが手を引くと、ダンテは数歩もいかぬうちに何故か立ち止まってしまう。脚を突っ張り、
上目遣いにバージルを見つめてくる。バージルはちょっと、こめかみを押さえた。
「来い」
問答無用で、ダンテの痩身を抱き上げる。前を開けてあったコートの内に包むように、ダンテを
懐に抱き込んだ。目立つが、仕様がない。出来る限り人の少ない通路を使って、トイレへ
急ぐ。
「もう少し堪えろ」
肩口に顔を押し付けたダンテの耳に囁くと、ダンテは首を何度も振った。
「も、むり……バージル……ッ」
切羽詰まった声は、まるで交合の最中のそれを思わせる。もちろん事態はそれどころではなく
……ふるっ、とダンテの躰が悪寒を感じたかのように震えた。次いで硬直し、愕然とした声が
バージルの耳にだけ届く。
「ぁ……あぅ……」
その直後に、バージルの足はようようトイレに辿り着いた。手遅れだということは、明白で
ある。
思い切り漏らしてしまったのかどうか、自分のコートの上からダンテを抱いているバージルには
判らない。
つかつかとトイレの個室に入ると、即座に鍵を掛けてダンテを便座に座らせた。
ダンテは、泣きそうな顔で震えている。黒のハーフパンツの股は、どうも濡れているらしい。
動かないダンテの下肢からズボンと下着を剥いでやろうとすると、俄かにダンテが抗った。
「やだっ……!」
幼児でもあるまいに、トイレに行くのが間に合わずに漏らしてしまったことが、死んでしまい
たい程恥ずかしいのだ。赤くなるのではなく蒼白いダンテのおもてから、バージルはそう察した
が放っておくわけにもいかぬ。
暴れるダンテの両手首を纏めて捕え、伏せられた頭に顔を近寄せてそっと囁く。
「喚くな。人が来るぞ?」
びくっとして、ダンテのじたばたしていた脚が止まる。
「良い子にしていれば、褒美をやる」
ダンテの耳に吹き込んで、ズボンと下着を脱がせてやる。濡れている所為でひどく脱がせづらい。
どうにか剥ぎ取ると、寒いらしくダンテの陰茎がふるりと震えた。もう何も、出るものはない
ようだ。
「見んなよ……っ」
ダンテが便座の上で膝を抱えようとするので、バージルはつるりと丸い膝をくっと押さえた。
脱がせたとはいえ、ダンテの股はまだ濡れたままなのだ。
「脚を開け」
据え付けの紙で拭ってやろうと、ダンテの膝を割った。ダンテの蒼白だった顔が、見事に赤く
染まる。
「やっ……やだっ、自分でする!」
「大人しくしていろ。人が来ると言っているだろう」
「うっ……でも……」
閉じようとする脚を開かせ、バージルは有無を言わせずダンテの股を紙で拭った。ダンテは
じっと唇を噛んで、その躰は微かに震えている。恥ずかしいのだろう。ダンテの羞恥に堪える
さまは、良いものだ。
ことさらゆっくりとダンテの身を拭き清めると、バージルはおもむろに立ち上がってコートを
脱いだ。ようやく脚を閉じることを許されたダンテは、膝を抱いてきょとんとしている。
「これを着ていろ」
ダンテに自分のコートを羽織らせて、バージルはひょいとダンテを抱き上げた。
「わっ、た……バージル?」
困惑した声を無視していると、ダンテが再度バージルを呼ばわった。仕方なく、何だと応じて
やる。
「待てよ、まさかこのまま帰るつもりじゃないよな……?」
「何か不都合でもあるのか?」
ダンテが一瞬絶句する。そんなことには気も留めず、バージルは個室の鍵を開けた。待て、と
ダンテが喚いてバージルの胸元に縋った。
「やだって、こんなん! 下ろせよ!」
「駄目だ。コートが汚れるだろう」
ダンテの身長では、バージルのコートは当然ながら丈が合わない。わざわざ裾を持ち上げて
いなければ、地面にすってしまうのだ。
「でも……だからってこれは……」
本当に幼児のようだとでも、ダンテは言いたいのだろう。しかしバージルには通用しない主張で
ある。
「気になるならば、顔を伏せていろ。家に着くまで、眠っていて構わん」
「そ、そういう問題じゃ……」
皆まで言わせず、バージルはさっさとトイレから出た。ダンテはぎくっとしてバージルの胸に
顔を押し付ける。ぎゅうっと服を掴んでいる手が、可愛らしいとバージルは思った。
コートなしでの帰路は寒くはあったが、ダンテを抱いていればそれもほとんど感じなかった。
子どもの体温は高く、心地好い。
その後しばらく、ダンテは何故か拗ねて口を利こうとしなかった。顔を合わせるのも嫌だと
ばかりのダンテに、バージルは少しため息が出たが呆れることはなかった。拗ねるさまもまた、
可愛らしいのだ。
ダンテの機嫌が直ったのは、それからさらに数日後のこと。
今はあのとき買ったオフホワイトのセーターを着て、家の中だというのに赤いマフラーを巻き、
バージルに凭れて眠っている……。
ハプニングを起こせませんでした…無念;
[08/1/23]